『お手本と同じように書いているのに何かが違う』
『造形バランスを整えてもお手本のように美しく見えない』
『一体何が違うのだろう?』
きれいな文字を書くための原理原則を理解し、その通りに実践して文字を書いているのに、お手本の文字のようにうまく書くことができない…練習を重ねるごとに、このようなお悩みを抱えることも珍しくありません。
レッスンを進めていく上で受講者さまからいただくお悩みは、その場で理由をご説明をし、解決すべく練習をしていきます。追加で教材や練習用紙を作成し、お役立ていただくこともあります。
「奈津先生の文字はペンで書いているのに、筆で書かれているみたいに見える」…という受講者さまの一言からヒントを得たので、今回はより美しい印象の文字へと変えることができる【洗練された線質】の表現の方法について、ご説明してまいります。
文字を書く際に、筆やペンの先にかける圧力のことを【筆圧】と言います。同じペンや鉛筆を使っても、筆圧をかければ強く濃い線を、筆圧を抜けば弱く薄い線を、それぞれ表現することができます。
変化がより分かりやすいように、見本は赤鉛筆を用いていますが、一定の筆圧だけでなく、一画の中でもかける筆圧を変化させることで、線質に変化が生まれることをお分かりいただけることと思います。
文字を書く際に必要なのは、筆圧だけではありません。【文字を書くスピード】や【表現する線の太さ】をそれぞれ変化させることで、【線の質=線質】は驚くほど変わります。
見本の二つの「永」は、ほぼ同じ形ですが、一定の速さ、筆圧で書いた左の「永」と、速さや筆圧に変化をつけて書いた右の「永」では、感じる印象が全く異なるのではないでしょうか?
①文字を書くスピードに【緩急】をつけること
②文字の線の太さに【太細】をつけること
③かける筆圧に【強弱】をつけること
緩急・太細・強弱…これらにより線質に変化が生まれ、文字の印象を大きく変えることができます。
線の質を変えるための大前提として、【止め・はね・払い】をきちんと区別して書くことが大切です。
ここからは、それぞれの線(画)の書き方の解説をしてまいります。毛筆、筆タイプサインペン、0.5mmのゲルインクボールペン、それぞれで書いた見本をご用意し、運筆方法(筆やペンの運び方)も細かくご説明しいたします。
また、解説入りの動画もご用意しましたので、緩急のつけ方の参考になさってみてください。
【起筆の書き方について】
線(画)の書き始めのことを【起筆(きひつ)】、書き終わりのことを【収筆(しゅうひつ)】と言います。
起筆は45°に入れて書くことが基本です。
横画、右払い、点…は運筆の方向と同じため、軽く入ることで自然に送筆(線を書くこと)ができます。
縦画、右上払い、左払い…は、起筆の角度とは異なる方向に運筆するため、45°にしっかりと当ててから送筆しましょう。
①【のびやかな横画の書き方】
①起筆は45°に入れ一瞬止めます。(ペンの場合は軽く入るイメージです。)
②45°に入れたペン先を右斜め上方向に向きを変えて
③右上がりに書きます。
④全体の長さの2/3辺りを頂点とし
⑤やや右斜め下方向に向きを変えて収筆は45°で止めます。
【動画はこちら⇓】
②【のびやかな縦画の書き方】
①起筆は45°に入れ一瞬止めます。(ペンの場合はしっかりと当てるイメージです。)
②45°に入れたペン先を真下に向けてまっすぐ下ろし
③収筆は左斜め上60°の方向に上げるように止めます。
④真上にそっと上げるように抜きます。
⑤やや内側に入れてから
⑥ゆっくりとはねます。
【動画はこちら⇓】
③【のびやかな左払いの書き方】
①起筆は45°に入れ一瞬止めます。(ペンの場合はしっかりと当てるイメージです。)
②45°に入れたペン先を左斜め下方向に向きを変えて
③そのまままっすぐ下ろし
④真ん中辺りから左斜め下方向に向きを変えて
⑤収筆はそのまま抜くように払います。
【動画はこちら⇓】
④【のびやかな右払いの書き方】
①起筆は45°に入れ一瞬止めます。(ペンの場合は軽く入るイメージです。)
②45°に入れたペン先はそのまま右斜め下方向に
③ゆっくり下ろし
④一旦止め
⑤収筆は右方向に抜くように払います。
【動画はこちら⇓】
⑤【のびやかな曲がりの書き方】
①起筆は45°に入れ一瞬止めます。(ペンの場合はしっかりと当てるイメージです。)
②45°に入れたペン先を左下方向に向きを変えてやや外側に
③ゆるやかにカーブしながら
④真横に向かい
⑤やや上げながら一旦止め
⑥収筆は真上にはねます。
【動画はこちら⇓】
⑥【のびやかな反りの書き方】
①起筆は45°に入れ一瞬止めます。(ペンの場合はしっかりと当てるイメージです。)
②45°に入れたペン先を右下方向に向きを変えて下ろし
③真ん中辺りから右斜め下方向にのびやかに反らせ
④一旦止め
⑤収筆は真上にはねます。
【動画はこちら⇓】
⑦【のびやかな点の書き方】
①反りながら左斜め下方向に下ろし真上に押し上げるように止めます。
②伏せながら右斜め下方向に下ろし押し上げるように止めます。
③反りながら右斜め下方向に下ろし左方向に向かってはねます。
④起筆は45°に入れペン先を真下に向けて下ろし止めます。
【動画はこちら⇓】
【基本点画の全てが入った『永』の書き方】
『永』には、点・横画・折れ(転折)・縦画・はね・左払い・右払い…の基本点画の全てが入っています。
それぞれの書き方の練習の後に、『永』を練習するのがお勧めです。
【動画はこちら⇓】
続きまして、受講者さまのレッスンの成果をBefore&Afterでご覧いただこうと思います。
レッスンでは基本的な解説の他に、受講者さまが最も効率良く理解し、習得できるさまざまな方法をご提案しています。筆圧のかけ方は口頭での説明だけではうまく伝わらないため、手を持って一緒に書きながら感覚を掴んでいただくようにしています。
造形バランスの形を整えるとともに、緩急や太細をつけることで、線質も美しく変えることができました。
運筆のリズムの取り方や筆圧のかけ方を練習するために、筆タイプサインペンを使っています。
After1は2画目から3画目に繋げる感覚を掴めたため、線の太細の変化を明確に表現できました。
ペンで書いたAfter2でも同様に、線の太細を表現できるようになりました。
「奈津先生の雫のような形の点を書けるようになりたい!」と、強い意欲で練習に臨まれました。
同じ筆圧で書かれたBeforeの点と、筆圧の変化を加えたAfter1&2の点。
線の質が大きく変わったことが一目瞭然です。
After1と2では、造形バランスはほぼ同じです。
しかしながら、緩急をつけて書いたAfter2の印象は、ここまで洗練されたものに変わっています。
動画教材を何度も繰り返しご覧になり、運筆のリズムをしっかりと掴めた成果が見事に表れています。
いかがでしたでしょうか?線の質を磨き洗練させることで、文字はもっと美しい印象へと変えることが可能です。緩急・太細・強弱、どれか一つでも意識なさりながら、文字を書いてみていただけたらと思います。
とはいえ、どこをどのように変化させれば良いのか?独学ではなかなかその判断が難しいかもしれません。正しい知識と練習方法で効率良く練習することが、美文字を身に付ける近道であることを、受講者の皆さまが証明してくださっています。
【和みの書 奈津 美文字教室】では、マンツーマンレッスンの他に、豊富な教材もご用意いたしております。一文字ずつの解説入り動画教材をご覧いただくことでレッスン後の復習にも役立つと、嬉しいご感想をいただいています。
わずか数回の練習で効率良く美文字へと変えることができる体験レッスンも、毎月開催いたしております。今まで独学で一生懸命練習なさってきた方にこそ、是非一度ご受講いただきたい、自慢のレッスンです。どうぞお気軽にお問い合わせ、お申込みくださいませ。
【レッスンのご案内】
* 体験レッスン;¥5,500-(税込み) 1回1.5時間
⇒美文字のコツを知り、お名前を綺麗に書けるようレッスンします。
*復習レッスン;¥5,500-(税込み) 1回1.5時間
⇒体験レッスンで学んだことを復習することで、しっかりと身に着けていきます。
* 初級編レッスン;¥118,800-(税込み) 6回18時間
⇒縦書き、横書きのお名前&ご住所を綺麗に書けるようレッスンします。
* 初級編終了後、中級編、上級編とご受講いただくことで、楷書、行書、実用書、全ての文字を綺麗に書けるようレッスンしていきます。