『一文字一文字を丁寧に書いているのに、全体の見映えがイマイチ良くない』
『マスに練習するときには上手く書けるけど、マスがないとだんだん文字が曲がってしまう』
美文字の練習に励んでも、日常で実際に書くとなると練習とは違うことに気づく方も少なくないことと思います。
今回は見映えを良くする書き方について検証し、解説していこうと思います。
理由を理解できると意識すべき点が明確になり、実践にもお役立ていただけます。
きれいな文字で見映え良く書くためのコツがたくさんありますので、最後までどうぞご覧ください。
まずは【文字のバランス】について見ていきましょう。
コラムのタイトルは敢えて『文字のバランス』と表記しましたが、文字には3種類の異なるバランスが存在します。まずはそれぞれの違いをご説明します。
『文字のバランス』と表現するときにまず初めに浮かぶのは【文字の形】ではないでしょうか?美しく整っているか?なんとなく残念な感じか?と言ったイメージです。
私のコラム内では明確に区別するため【文字の形=造形バランス】と表記しています。
『バランスよく書けない』という時はたいてい【まっすぐ書けない】ことを表現しているように思います。
同様に【文字の並べ方=配置バランス】と表記しています。
『全体のバランスが悪い』という時は【見映えが悪い】と感じているのではないでしょうか?
同様に【見映え=余白バランス】と表記しています。
今回は見映えを良くする書き方についての内容なので、3つ目の【余白バランス】を中心に進めていきたいと思います。
ここで一つ、質問です。
同じ「見映えの良い書き方」という文字ですが、上段と下段、どちらの書き方がしっくり来ますか?
上段、下段、それぞれをマスに入れて書いたものがこちらです。
漢字の大きさを「10」とした場合、ひらがなやカタカナは少し小さめの「8」ぐらいの大きさで書くと、全体のバランスが整って見えます。
漢字よりもひらがなをやや小さく書いた上段を【望ましい例】、漢字もひらがなも同じ大きさで書いた下段を【残念な例】としましたが、【残念な例】のようにひらがなをマスいっぱいに書くと、ひらがなの主張が強くなり、漢字が小さく見えてしまいます。
こちらは上段の【望ましい例】のマス有りとマス無しの比較です。それぞれの文字をマスの中心に配置して書いているつもりでも、マスを外してみると文字の周りの余白が目立つことが分かります。余白の広さが異なるのは、それぞれの文字の外形の違いによるものです。
下段【残念な例】も同様です。漢字、ひらがな、ともにマスいっぱいに書いているつもりでも、マスを外してみると文字の周りの余白が目立つことが分かります。
マスの無い状態で書くときには、どのような外形の文字であっても、文字と文字の余白(間隔)を等しく空けて書くことで、全体の見映えを良くすることができます。
全く余白がなく狭すぎると窮屈な印象に、余白が広すぎると閑散とした印象になってしまいます。
余白のことまで意識して書くか否かで、見映えに大きな差が生じます。
続きまして、『マスがないとだんだん文字が曲がってしまう』ことについて見てみましょう。
縦書き、横書き、それぞれの例を挙げました。特に横書きの場合、だんだん上にずれてしまう方、だんだん下にずれてしまう方は、書き方のクセが原因であることが多いです。姿勢が崩れていないか?、紙が曲がっていないか?確認してみましょう。
中心線が上下、または左右にずれてしまい、行がガタガタになってしまう場合は【それぞれの文字の一画目はどこから書き始めるのか?】を常に意識しながら書くと良いです。
「ありがとうございます」を例にとって見てみましょう。それぞれの文字の一画目の起筆位置に矢印を入れると、文字の書き始めの位置はこんなにもバラバラなことにお気づきのことと思います。
一画目の書き始めの位置を、9等分にしたマスのそれぞれの個所ごとに分けて解説したものがこちらです。左上から書き始める文字だけでなく、右上から書き始める文字や、中心から書き始める文字もあります。
文字が曲がってしまうのは、この一画目の書き出しの位置がずれてしまうことが原因なので、是非意識して書くようにしてみてください。
最後に、文字の印象の比較をしてみたいと思います。
上段、下段、ともに同じ造形バランスの「あいうえお」の文字ですが、印象が大きく異なることにお気づきでしょうか?
好みの問題もあるので、どちらが良いと思うかは人それぞれだとは思いますが、ここまで印象が異なるのは【線の質】が大きく関係してくることをご説明しておこうと思います。
上段は『正しく丁寧に書くこと』を意識した【国語科書写】的な書き方、下段はそこから更に進んだ『美しく個性を生かして書くこと』を意識した【芸術科書道】的な書き方で書いています。
正しく丁寧に書くことは、意識さえすればどなたでも今この瞬間からできるようになりますが、そこから一歩踏み込み、美しく個性を生かした書き方ができるようになると、より洗練された大人の美文字へと印象を大きく変えることが可能です。
別コラムにて解説をしていますので、併せてご覧ください。
いかがでしたでしょうか?3種類ある『文字のバランス』の意味の違いや、見映えを良くするために意識すべきさまざまなコツなどを、ご理解いただけたことと思います。
文字の大きさを変えることや余白を等間隔にすること、一画目の書き出しの位置を考えながら書くこと…など、まずは知識を学び理解することが、美文字を身に付ける第一歩となります。
とは言え、長年のご自身の書き方のクセを変えていくことは、残念ながら一朝一夕にはできません。どこをどのように変えれば良いのかすら分からない方もいらっしゃることでしょう。
【和みの書 奈津 美文字教室】では、お一人お一人の書き方のクセを見抜き、個性を生かし美しい文字を身に付けていくマンツーマンレッスンを行っています。ペンの持ち方や書くときの姿勢、クセの直し方や生かし方などを総合的に判断し、さまざまな指導を行うことで見映えの良い書き方へと変えることが可能です。
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*復習レッスン;¥5,500-(税込み) 1回1.5時間
⇒体験レッスンで学んだことを復習することで、しっかりと身に着けていきます。
* 初級編レッスン;¥118,800-(税込み) 6回18時間
⇒縦書き、横書きのお名前&ご住所を綺麗に書けるようレッスンします。
* 初級編終了後、中級編、上級編とご受講いただくことで、楷書、行書、実用書、全ての文字を綺麗に書けるようレッスンしていきます。